2023年04月20日

No.1519 買収防衛策導入企業はもっとがんばらなくてはいけない

すみません。お気を悪くした方もいらっしゃるでしょう。ただ、このご時世、あえて言わなくてはなりません。以下、「公正な買収の在り方に関する研究会」の指針原案です(第7回のほう)。少し抜粋します。P34です。

https://www.meti.go.jp/shingikai/economy/kosei_baishu/pdf/007_03_00.pdf

我が国においてはこれまで、業績が低迷するなど経営を改善する余地が大きく、買収の経済的意義が発揮されやすい企業において対応方針が導入されやすい傾向があったことは、看過すべきではない。このような会社において買収への対応方針が導入されれば、望ましい買収提案の躊躇や、買収を通じた規律付けの低下、買収提案に対する経営陣の真摯な検討の阻害を生む結果となりかねない

したがって、会社としては、対応方針の導入を検討するのであれば、まずもって平時から会社の本源的価値を高めるための合理的な努力を貫徹するとともに、それが時 価総額に反映されるよう取り組むことが求められる(「3.1.4 平時において取り得る方策」参照)。

私はずっと皆さんに「買収防衛策は時間と情報を確保するためのルールであり防衛策じゃない」と言ってきましたし、その考えに変わりはありません。ただ、上記のとおり指針原案に書いてある「業績が低迷するなど経営を改善する余地が大きく、買収の経済的意義が発揮されやすい企業において対応方針が導入されやすい傾向があったこと」も事実であろうと言わざるを得ません。「何社あるんじゃ!」「どの会社や!名前をあげろ!」「根拠は!」と言うのは簡単ですが、実際こういう側面があることは否定できません。

一方、業績絶好調、株価も絶好調という買収防衛策導入企業があることも事実です。こういう会社は「うちの会社は業績も上げているし株価も好調。なのに買収防衛策を導入することに批判される。時間と情報を確保するためなのに」と考えています。そしてさらに踏み込むと「業績や株価もよくない会社が買収防衛策を導入することに批判が集まるのはわかるが、どうしてうちの会社まで批判されなきゃいけないんだ?買収防衛策を導入している会社はもっと業績や株価で結果を出してくれよ!そうしないと結果を出しているうちまで買収防衛策を廃止しなきゃならなくなるじゃないか」ということです。

あえて言います。あえてです。買収防衛策を導入しているのに業績・株価がいっこうによくない会社は、結果を出している買収防衛策導入企業の足を引っ張っているということなのです。

だから結果を出していかなくてはならないし、結果を出さないと買収防衛策を導入できなくなるんです。だから今回のPBR1倍割れ改善要請にも積極的に対応すべきだし、今後、機関投資家との対話も積極的に行っていく必要があるのです。

最近よく「鈴木さん、最近厳しいよね?」と言われます。はい、私は最近論調を変えています。なぜなら世の中が急激なスピードで変化しているからです。変化しないと世の中に取り残されてしまうからです。買収防衛策に対する考え方も変えていく必要があります。時間と情報を確保するためには、平時からそういうルールを導入してもこの会社なら大丈夫だと信頼してもらう必要があります。

今こそ買収防衛策導入企業はドラスティックに変化し、「うちの株価はどや!これで文句ないやろ!」と買収防衛策と呼ばれてしまっている時間と情報を確保するためのルールを正々堂々と継続できるようにしましょう。

 

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