No.111 佐々木ベジ、また追加取得。でもこれは想定内
佐々木ベジさんがまたソレキア株式の変更報告書を提出しました。前回提出したのは6月12日です(報告義務発生日は6月5日)。今回の変更報告書は、報告義務発生日は6月13日で提出日は6月20日です。珍しく本日6月21日の日経に記事として取り上げられていましたね。
5月23日の取得はTOBによるもので、5月24日~6月13日が市場取得です。2016年3月期末のソレキアの総議決権は847,200株です。前回の変更報告書提出時点での佐々木ベジ氏らの議決権割合(320,299株+58,500株)÷847,200株=44.7%でした。今回の変更報告書によると議決権割合(330,499株+58,500株)÷847,200株=は45.9%となりました。
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5/24(水) |
5/25(木) |
5/26(金) |
5/29(月) |
5/30(火) |
5/31(水) |
6/1(木) |
6/2(金) |
6/5(月) |
出来高 |
25,100 |
14,600 |
1,000 |
800 |
400 |
500 |
4,200 |
7,900 |
7,400 |
取得株数 |
12,700 |
9,500 |
800 |
500 |
200 |
100 |
2,700 |
5,600 |
2,600 |
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6/6(火) |
6/7(水) |
6/8(木) |
6/9(金) |
6/12(月) |
6/13(火) |
6/14(水) |
6/15(木) |
6/16(金) |
出来高 |
6,300 |
13,400 |
5,400 |
5,900 |
6,500 |
1,700 |
1,100 |
3,600 |
800 |
取得株数 |
2,400 |
3,400 |
なし |
なし |
4,400 |
600 |
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6/19(月) |
6/20(火) |
6/21(水) |
6/22(木) |
6/23(金) |
6/26(月) |
6/27(火) |
6/28(水) |
6/29(木) |
出来高 |
1,600 |
3,600 |
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取得株数 |
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佐々木ベジ氏によるTOB終了後の市場での追加取得は、その昔、オリジン東秀に敵対的TOBを仕掛けたドン・キホーテの行動を彷彿とさせます。イオンがホワイトナイトとして登場し、ドン・キホーテによる敵対的TOBは失敗したかに思われたものの、ドン・キホーテによるTOB終了後(イオンのTOBは継続中)、ドン・キホーテがオリジン東秀株を市場で買い増しました。このケースを知っていれば「TOB終了後も佐々木ベジは買い増してくるかもしれない。だから安心してはいけない」と読めたことでしょう。まあ、TOBで40%も買われてしまっては読めたとしても対処のしようがありません。時すでに遅し!
ソレキアの株価は読めませんね。最近の動きは乱高下と言ってもよいでしょう。今日の高値は8,290円です。正直、この先の展開はわかりません。佐々木ベジさんがもっと買うかもしれませんが、もう45%も取得したのだから実質過半数をとったと考え、買わないかもしれません。さすがにソレキア株には手を出せません。
ところで、TOB終了後、佐々木ベジさんはソレキア株式をいったいいくらで追加取得しているのでしょうか?まずはTOBで取得した株数は285,599株で、取得資金は1,556,249千円です。単価は5,450円です。6月20日に提出した変更報告書によりますと、保有株数は330,499株に増え、取得資金は1,783,519千円となっています。ということは、5月24日以降に取得した株数は330,499株-285,599株=44,900株で、この株式の取得に使った資金が1,783,519千円-1,556,249千円=227,270千円となります。ということは1株あたり約5,061円です。最終的なTOB価格は5,450円でしたから、TOB価格よりも安い値段で買っていますね。ちなみに、ソレキアへのTOBで準備していた資金はいくらだったでしょうか?公開買付届出書によると、当初は1,717,010千円でしたが、最終的には2,140,871千円です。現時点で使用した資金は1,783,519千円ですから、まだお金は十分あります。もっともっと持っているのでしょうけど。
5月23日にTOBが終了しましたから、24日以降はみんなが「ソレキアの株価は下がる」と思っていたところ、佐々木ベジさんは買っていた訳です。TOBが成功したからもう買わない、というか、TOBが成功したから「もう終わった」とみんな思っていたけど、佐々木ベジさんは「まだ終わっていない。なぜなら私の目標とする株数に到達していない」と考えていたのでしょう。だから、TOB価格よりも安い値段で追加取得できたということですね。
佐々木ベジさんの目標株数は?ソレキア株式の公開買付届出書によると364,700株でした。6月20日に提出した変更報告書によると、佐々木ベジさんの6月13日時点の保有株数は330,499株ですから、あと34,201株です。多少高くつくかもしれませんが、買えなくはなさそうです。高くつくと言っても、佐々木ベジさんにとっては微々たる金額でしょう。
富士通はこういう人と戦っていたということです。そりゃあ負けますよ。買うと決めたらとことんやるんですから。かたや「株主に対する説明責任が!」と言っている人ですから、最初から勝負は見えていたということです。そんなきれいごとを言っているようでは勝てません。
「うちは大丈夫だろ?」と気を抜いていると、買収者は必ずやって来ます。なぜでしょうか?「大丈夫だろ?」という気の緩みが、会社の財務体質や株主構成、ROE、株主還元方針、ガバナンスににじみ出てしまっているのです。それらのデータなどを見れば「この会社は気を抜いているな」と見透かされてしまいます。その上で買収防衛策を導入していないとなると「買収されないと思っているな?この会社はちょろいな!」と見なされます。
そして平時からそういう気持ちでいると、いざ有事になっても切り替えられません。心の奥底で「なんとかなるだろ?」と思ってしまい、買われてしまうという現実から目をそらして対応してしまうのです。そして意見表明の内容にそれが出てしまいます。レベルの高い株主はそれを見抜きます。そして株主が会社から離れていきます。平時から心がけて準備しておかないと、必ず負けてしまうのです。有事対応というのは実は平時から始まっていますし、有事を想定して平時のうちに行動することこそが企業価値向上策の実践なのです。