2025年12月17日

No.2217 ファン株主を作る目的を間違えないこと

以下の日経記事をご覧ください。多くの上場会社が陥りやすい落とし穴です。

株主優待の実施企業最多 オリオンビールなど、個人のファンつくる 2025/12/17日経

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB28BVE0Y5A121C2000000/

株主優待が再び拡大している。実施する上場企業が2025年(9月末時点)にオリオンビールをはじめ1600社を超え、同時期として過去最多となった。サンリオなど株の長期保有者向けを手厚くする企業もある。株価の下支えや、持ち合い関係の解消が進むなか安定株主として個人の開拓につなげたい思惑がある。

個人株主向けの株主優待というのは古くから日本の上場会社で取られてきた策です。たくさんの食品メーカーや飲食店チェーン企業などが実施してきましたが、その目的はなんだったのでしょうか?

ちなみに株主優待の元祖は東武鉄道だそうです。東武鉄道ってところもポイントですね。

元祖は鉄道会社か 知られざる株主優待のルーツ 2015/2/19日経

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO82492670Y5A120C1000000/

結論から言うと、記録が確認できた範囲で最も古い優待は東武鉄道だ。同社の社史には「明治32年(1899年)、優待株数300株以上、範囲は鉄道全線、優待株主数41名」の記載がある。戦前どころか19世紀だ。

(中略)

高度経済成長期には急増する個人投資家を取り込もうと、裾野が一気に拡大。1980年代初めには100社程度が採用していた。バブル崩壊後は株価対策としてむしろ導入に弾みが付き、大和IRによれば93年には283社が導入している。

本来の株主優待とは「株主に自社製品を知ってもらい、購買につなげること」 これじゃないですか?株主優待=いわば試供品でしょう?中には自社の事業内容とまったく関係のないお米などを配る会社もありますが、意味が分かりません。優待をする製商品のない会社はやる必要がありません。個人株主のひきつける方法をまちがっていますよ。

大和総研の瀬戸佑基研究員は「安定株主として個人投資家を開拓する企業のニーズは高く、新規株主の獲得や株価の下支えを狙った新設が増えている」と分析する。東京証券取引所による資本コストや株価を意識した経営の要請などを受け、企業は持ち合い解消を進めている。持ち合い先に代わる株主として個人株主を開拓しようとしている。

個人株主を安定株主に!って誰が言い始めたんでしょうね。私は言っていません。なぜなら個人株主は株価が上がれば売る株主であり、いわゆる安定株主などにはならないから、です。はっきり言って個人株主を安定株主にしましょうってのはサギに近いセールストークだと私は思っています。

何のためにみなさん個人株主を増やしたいのでしょうか?安定株主に代わる株主として個人に持ってもらい、ファンにして敵対的TOBが仕掛けられても売らない株主、株主提案をされても会社を支持してくれる株主、にしたいのですか?

だとしたら間違っています。その努力はムダです。安定株主を増やしたいなら個人じゃなくて安定株主を増やせばいいのです。個人株主を10%増やして安定株主化させるムダな努力をするなら、安定株主を1%増やす努力をした方がよいです。意味のある、効果的な持ち合いをした方がよいです。安定株主を増やしたいなら、です。

株価の下支えをしてもらうために個人を増やす?これ、たぶん50年くらい前から言われてることじゃないですか?私が証券会社にいるころに、こんなことを繰り返し言っている営業マンを何度も見たことがあります。個人株主が株価の下支え?それ、どうやって検証できるの?今日の株価は個人株主の買いで下げ止まりました!どうやってわかったの?

そのセールストーク、上場会社をダマして売出しをさせるためのものですよね・・・。

あるすばらしい上場会社の経営者の方に「株主構成って気にしたことありますか?」と試しに聞いたことがあります。その答えは・・・

「ない。だってどうにもならんじゃない?経営者がコントロールできるものじゃないでしょ?」

しかしこの会社はきちんとIRをやっています。「適時適切な情報開示のために」です。期間投資家に買ってもらいたいとか個人に買ってもらいたいとか、そういった目的でIRをやっているのではなく、適時適切な情報開示のためにやっています。

何のための売出しか?何のための個人株主か?何のための買収防衛策か?会社は誰のものか?経営者は株価に責任がああるのか?

こんなことを年末年始に考えてみるのもよいかもしれません。

 

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