No.2019 牧野フライスがアドバイザーにとりあえず支払ったフィーは13億円!!!
以下、4月30日に牧野フライスが決算発表をしているのですが、P/Lの特別損失を見ると「公開買付関連費用」という勘定科目があります。ニデックに敵対的TOBをされ、その対応のためにアドバイザーに支払った費用でしょう。その額なんと・・・13億円です!やたらと証券会社をはじめとしたアドバイザー連中が上場会社のみなさんに「平時型買収防衛策をやめましょう!評判が悪いんです!時代は有事型買収防衛策です!」って言ってくる理由がわかったでしょ?すべて莫大な金のためです。

これ、2025年1月~3月分なのかな?牧野フライスのキャッシュフローの状況を見るとこうなっています。1~3月に支払ったのは378百万円なのかな?決算説明会では、2026/3期中でも10億円くらい発生するような話もあったやに聞いていますが、残りの10億円ということなのか、それとも追加で10億円ということなのか・・・。

いずれにせよ4月以降もニデック対応をしているし、裁判対応も発生しました。そして以下の「3.今後の見通し」に「競合提案に係る初期的な意向表明書を提出した第三者との間で、競合提案に係る法的拘束力のある最終的な意向表明書の受領に向けて、鋭意、それら第三者によるデュー・ディリジェンスへの対応及び協議等を行っています」とありますので、アドバイザリーフィーがさらに発生する可能性が高いと考えたほうがよさそうです。トータル20億円以上になっても不思議はないですね・・・。
https://ir.makino.co.jp/news/pdf/2025/20250509.pdf
みなさんはこの金額を見ておそらく「バカ高い!」「ぼったくり!」と思ったのではないでしょうか?私もそう思います。それに加えて「まさにお金をドブに捨てるようなもの」と思いました。だって一連のニデック対応って全部アドバイザーがやったでしょう?アドバイザーに言われるがままだった牧野フライスの社内には何の知見も残っていませんよ。残るのは嫌な思い出だけです。13億円(+α?)払ったけど、会社には何の防衛資産も残りません。防衛ノウハウは会社にありません。この対応が終わったら「やっと終わった」としてみんな忘れます。そして仮に非公開化して再上場したとしたら、アクティビストやニデックがまた寄ってくるんですよ。
私は最近のアクティビスト事情や敵対的買収をめぐる動向を考えると、アドバイザリーフィーは高くなるだろうということは前から言っています。しかし、いろんな証券会社をはじめとしたアドバイザーのやり方は実に「えげつない」と思っています。以下をご覧ください。
同意なき買収、信託銀行が防衛指南 みずほや三菱UFJ 2024/10/28日経
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB24DHH0U4A021C2000000/
みずほ信託でも「事前警告型を廃止し、有事導入型を導入するための相談が増えている」という。TOBや大規模な買い付け行為が発生した時に使用するプレスリリースを策定するほか、有事型の導入時に必要な対応を可視化する社内マニュアルの作成などを支援する。みずほ信託の有事導入型の支援件数は20年に第1号を手掛けて以降、年々増加傾向にあるという。
私のところにもよく相談がよせられますが、上記記事は少し間違っています。正確には上場会社が平時型(事前警告型ルール)の廃止を相談するのではなく「証券会社や信託銀行から、平時型は評判が悪いから有事型に移行すべき!と言われるのだけどホントか?」「証券会社が平時型をやめろとうるさい!」というものです。アドバイザーがこぞって上場会社に「平時型をやめるべきだ」と強烈に説得しようとしています。
私が申し上げるのは一言「騙されないでください」です。
事前警告型ルールを準備するのは当然「平時」です。その目的は「なるべく有事にしないようにするため」です。なぜなるべく有事にしないようにするのか?というと、バカみたいに13億円なんていうアドバイザリーフィーを支払わないようにするためです。そしてなぜ証券会社が上場会社に対して平時型をやめろ!有事型にしろ!と勧誘するのかというと、上場会社が有事になってくれれば莫大なアドバイザリーフィーを手にすることができるためです。簡単に言えば、平時型買収防衛策、事前警告型ルールが自分たちの金儲けのためにジャマだからやめろと言っています。
もちろん平時型買収防衛策を導入できない会社もあります。そういう会社であれば、いざというときに備えて有事型で対応するというのは仕方がありません。ただ、有事型ってのは買収防衛策にならないんですよ(もちろん平時型も。それだけではならない)。証券会社は「いや、こういうやり方だと大丈夫」とかあれこれ言うと思いますよ。でもね、ならないですよ。平時型を導入できない会社は「いざというときは有事型!」だけではないんです。ちゃんと別のことを考えておく必要があります。
牧野フライスはニデックに有事型で対抗した結果、追い払ったじゃないか!というバ〇なアドバイザーがいるかもしれませんが、違う(はず)。実際に本件に関与したアドバイザーが「いや、鈴木の言っていることは間違っている!」と言っても信用してはダメ。そもそも有事にしちゃダメなんだから。
https://ib-consulting.jp/column/5504/
牧野フライスだって手の打ちようはあったんですよ。今からでも遅くはないですし。
そしてよくないのは、平時型を導入できる会社、余裕で継続できる会社にすら「平時型をやめるべきだ」って言うことです。これがまあタチが悪い。「評判が悪い!」「やめるべきだ!」って平時型の導入アドバイスもしたことのない素人が言ってます。評判が悪いってなんだよ笑 総会通せるだけの株主構成なんだから、通せばOK。って言うと「株価に悪影響が出る!」って日経の記事を鵜呑みにして言うんですよ。買収防衛策と株価の関連性は分析できませんよ。買収防衛策の導入・継続の発表はほぼ決算発表と同じです。翌日の株価が買収防衛策の影響なのか、決算の影響なのかわかるわけないでしょ?
ちなみに買収防衛策の継続を、以前は単独で場があく前の8:30に公表していたGMOの株価は以下の通り。
https://ib-consulting.jp/column/4134/
なぜあれやこれやと理由を付けて平時型を入れるなというかと言うと、それはすべて「上場会社を有事にさせて莫大な金儲けがしたいから」です。つくづく、牧野フライスは平時のうちにやるべきことをきちんとやっておけば、13億円(+α)を払う必要のなかった会社なのです。
上場会社のみなさん、有事型なんてダメですよ。有事型でいいんですと言ってくるアドバイザー、やたらと非公開化・MBOをすすめてくるアドバイザーを絶対に信用すべきではありません。そういうアドバイザーは貴社を食い物にしようとしているだけです。
アクティビストよりも怖いのがそういうアドバイザーです。アクティビストは悪人顔してやってきてくれますからわかりやすいのですが、そういうアドバイザーは善人面してやってくるのタチが悪い。騙されないように気を付けましょう。
