2024年06月04日

No.1786 個人アクティビストvs企業防衛弁護士!

以下の番組を見ました。西村あさひの太田先生と田端氏の対談です。

https://newspicks.com/movie-series/86?from=%2Fprograms&movieId=3821

2024年6月3日 公開

個人株主アクティビスト化の是非【田端信太郎vs太田洋】

6月にピークを迎える株主総会。

株主の動きも活発化する中、注目されるのが、いわゆる「アクティビスト」だ。

本来の意味は「活動家」を意味するこの言葉だが、株式市場では「モノ言う投資家」と呼ばれており、投資先企業の経営陣に積極的に提言を行っている。

三菱UFJ信託銀行によると、去年6月に株主総会を開いた企業のうち、株主提案が出された企業は90社と過去最多を記録。

今年も相次ぐ株主提案に各企業がどう向き合っていくか注目されている。

今回は、YouTubeやXなどのSNSで、発信するたびに注目される田端信太郎氏と、「企業が選ぶ2023年に活躍した弁護士ランキング」M&A分野で1位を獲得し、敵対的買収防衛やアクティビスト・ファンド対応をメインとする「法の番人」太田洋氏を迎え、「個人株主のアクティビスト化の是非」について考えていく。 

果たして、アクティビストの活動はどこまで許されるのか?コーポレートガバナンスの現状の問題点とは?そして、株主と企業側の健全の関係性を築く方法はあるのか?

まず「個人株主アクティビスト化の是非」というタイトルについてですが、そもそも個人株主、例えば株主総会に出席するような個人株主はアクティビストです。そりゃそうです。個人株主のほうがアクティビストとしての歴史は長いんですよ。株主総会に出席し、「おい!社長!●●部門の赤字はいつ解消するんや!そんな儲からん事業やめてまえ!」「そもそも社長がやめろ!」とか平気で株主総会で言う個人株主さん、いらっしゃるでしょ。見たことありますよ。あれ、まさにアクティビストですし、日本にはそういう個人株主が昔からいらっしゃいました。なお私はそういう個人株主を「悪い存在」だとは思いません。もちろん株主総会で言っている内容に良し悪し、レベルの高低はありますけど。そういった個人の行動を組織立って大掛かりにやっているのがオアシスとか旧村上ファンド、バリューアクトといったアクティビストである、というのが私の整理です。※それ言い始めたら何でもそうかもしれませんが。

それと番組冒頭で加藤浩次さんが何気なくおっしゃった言葉に、アクティビズムのすべてが包含されているように思いました。有料の番組なので抜粋は最低限にします。

「ちょっと待ってください!ユーチューブの収益あげるためにアクティビストになってるんですか!笑」

アクティビストは何のためにアクティビズムをやっているのでしょうか?「貴社の社外取締役は独立性があるのか」「ガバナンスがなっていない!」「資本コスト経営!ROE重視!」

これ、アクティビストは何のために主張しているのでしょう。日本企業のガバナンス改善のため?いい会社になってもらいたいから?

違います。アクティビストは株価を上げるためにこういった主張をしています。経営者はここをよく間違えがちなんです。「彼らは何のためにうちを狙っているんだ?株主還元?業界再編?」 株主還元なのか業界再編なのか、アクティビストはどっちでもいいんですよ。株価が上がれば。株主還元、業界再編は株価を上げる手段であって彼らの目的ではありません。ここを見誤ってしまうと対応を間違えるので、実は要注意なんです。

さて、番組の中身についてですが、これ、番組内で具体的に社名を上げられた会社は大変ですね。私は大変無知で申し訳ないのですが、このNewsPicksという番組の影響力を存じ上げません。ただ、こういった形でアクティビストをマスメディアが報じ始めると、ターゲットになった会社は対応に苦慮することもあるでしょうね。

個人アクティビストをホンチャンのアクティビストが活用する事例も出てきても不思議ではないです。たとえばアクティビストはアクティビズムをする際にPRアドバイザーを雇っていることがありますが、これ、インフルエンサーである個人アクティビストと共闘することも大いにあり得るでしょう。機関投資家対応はアクティビストがやり、個人といったマス対応はインフルエンサーアクティビストにまかせるといったすみわけで戦っていく、などなど。PRアドバイザーの役割をインフルエンサーアクティビストが担うかもしれません。PRアドバイザーがインフルエンサーアクティビストに目をつけて共闘を持ち掛ける可能性もあります。

番組内で田端さんが「日本は総会屋の悪しき伝統があって」とおっしゃっていたのですが、これ、私もまったく同じことをいつも思っているのですが、日本企業のアクティビストアレルギーの根源はすべて総会屋にあるでしょうね(もちろん米国においてもアクティビストのことをよく思っている経営者は少ないとは思いますが)。そもそも今でも株主総会の対応ってIR部じゃなくて総務部がやっている会社が多いでしょう?あれ、総会屋対応の名残でしょう。

上場会社がこれからやるべきことは何なのかなあと私はこの番組を見ながら考えたのですが、

アクティビスト=全員悪者

アクティビスト=自分の金儲けしか考えていないヤツら

アクティビスト=合法的な総会屋

といった固定観念をいっかい捨てたほうがいいですね。このアクティビストは何のために当社にいろいろと言っているのだろうか?アクティビストの主張を受け入れたら会社はよくなるのだろうか?

つまり、このアクティビストはわが社を愛してくれているのだろうか?ということを考えてみてはどうでしょうか?例えばアパレルの会社がアクティビストと面談をした際、そのアクティビストが貴社が作っているスーツを着てやってきたら?飲食事業をやっている会社だとして、そのアクティビストが「この間●●店で食事をしたんだけどおいしかった」と言ってきたら?

逆にアクティビストも会社に対して愛情があるのなら、それを会社にちゃんと伝えなきゃいけないし、伝えたほうが話し合いがスムーズになるでしょう。双方の歩み寄りがあれば、意外と日本の会社、株式市場はよい方向に進んでいくかもしれません。「このアクティビストは自分たちの金儲けのためだけじゃなくて、会社のために言ってくれている」といううふうに経営陣が受け止めたら、受け入れやすいでしょうね。

アクティビストの主張に会社に対する愛情が含まれていれば、その人たちは決してアクティビストではないのですよ。番組内でもおっしゃっていましたが、これからの日本に登場してほしいのは「愛と誠のアクティビスト」だなと私も思った次第です。私は北風作戦より太陽作戦を好みます。日本の経営者に対しては強面よりも、そっちのほうがいいかもしれません。昔「物聞く株主」ってのもいましたね。

なお、上場会社は最近、行き過ぎた株主利益至上主義という言葉を使い始めている感じがするのですが、アクティビスト・個人アクティビストの活動は始まったばかりですよ。まだまだ入り口だし、序の口ですよ。アクティビストと個人アクティビストが共闘したり、アクティビストの株主提案に機関投資家が賛成したり、KKRのように投資家が敵対的TOBをしけかてきたり、日本の上場会社にこれまで予想しなかったことが起きる可能性があります。

この程度の騒ぎで「アクティビストはいかがなものかー!」なんて言っていたらこれから先耐えられません。なおそもそもですが、少なくとも戦後の日本で株主利益至上主義が行き過ぎたことはないです。というか株式会社は株主利益至上主義なのは当たり前です。おそらく経営者が言いたいことは「株価至上主義」だと思いますが、そういった言葉遣いからまずは気を付けないとアクティビストに揚げ足を取られます。アクティビストは株式市場のことを誰よりも勉強しています。

ですから上場会社も株式市場のこと、アクティビストのこと、敵対的買収のことを勉強しなくてはならないのです。その勉強のお手伝いをし、貴社が株式市場で認められ企業価値・株主価値を向上させるサポートをする黒子の役割を当社はになっております。

お問い合わせは以下!!!

https://ib-consulting.jp/contact/

最後に番組内の田端さんの指摘「オーナーが例えば30%、40%持っている会社。現実問題そのオーナーがすべて決めることができる。残り60%の株主が束にならないと(なるのは難しいし、現実問題勝てない)」

私の考えですが、すべては株価に収れんされるのではないでしょうか。オーナー経営者が適切な経営をしていれば株価も上がり皆ハッピー、おかしな経営をしていれば「あの会社の株を買っても仕方がない」と考えて買わず株価が下がる。でもこれまでは「株価が下がっても別にいいよ。資金調達するわけでもないし」「株価が割安になってもオレが実質過半を持っているんだからアクティビストなんて来ないでしょ?」だったのが、これからはアクティビストが来るようになります。現にオーナー社長の会社、創業家が大半の株を持っている会社がアクティビストに狙われています(親会社という議決権の過半を持つ株主がいるのに上場子会社も狙われています)。上場会社が「中長期」を標榜するように、これからはアクティビストも上場会社を中長期という時間をかけて攻撃してくるようになるでしょう。そういう時代なんです。だから普段からちゃんとやっておかないとダメなんです。

 

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